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- 作者: 誉田哲也
- 出版社/メーカー: 文藝春秋
- 発売日: 2012/02/10
- メディア: 文庫
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いよいよ三年生になった早苗と香織。福岡と神奈川に別れたあとも良きライバルであり続けた二人は、インターハイ決勝戦での対戦を目指す。
<感想>
という粗筋を書くと、ふたりの再戦がクライマックスだと思うじゃないですか。実際、最終巻はそういう話だと思ってましたが、かなり意表をついてきました。拍子抜け、と言っても過言ではなく……。
読み終えた後はがっかり感もあるんだけれど、でもこれはこれで、もしかしたら『武士道ナインティーン』への布石なのかも知れない、とも思ったり。
雑誌で発表された短編を組み込む形で構成されていて、その短編は早苗や香織以外の登場人物にスポットを当てられた話。こういうパターンは他の長編でも時々見かけるけれど、どうしても話の流れが不自然になりがち。それを最終巻に持ってきたのは、やっぱりちょっと失敗じゃないかなあ、とも。
もちろん、個々の短編はいい話で、個人的には桐谷先生と吉野先生の話が特に好き。女子高生視点でない話だから、かえって作者本来の文章の持ち味が出てるんじゃないかなあという気も。
16歳、17歳とふたりの成長を見守る父親のような気分で読んできたから、18歳のふたりの更にその行く先が気になるような終わり方は、これはこれで良いかな、とも思う一方で、最後はもっと熱い戦いを見たかったと思う気持ちもあり。
まあ、でも、総じて良いシリーズであったことは間違いない。映画も見てみようかなあ。