光秀曜変

光秀曜変

<粗筋>
 光秀がなぜ本能寺の変に至ったのか。その数年前から、数カ月後までを描く。
<感想>
 粗筋紹介がそっけなくなってしまったけれど、なかなかの意欲作。光秀の生年は不明で、一般的には1528年と言われている。でも、最近になって、もっと早い1515年という説があるらしい。本作は、この説に則って光秀が本能寺の変を起こした理由を描いている。
 この説に従えば、光秀が本能寺の変を起こした1582年には既に70近い、当時としては老人と言っても良い年齢だったことになる。そして、光秀はその年齢故に謀反を起こしたというもの。
 そもそも、光秀像って結構変遷していて、私が子供の頃はまだ、凡愚の将、謀反人、というイメージが結構あったように思う。でも、最近になって織田家家臣の中でも一、二を争う武将であったという印象が定着している。更にはゲームやら何やらで、もっと色々なイメージが付着しているし。
 そんな中で、この老いと戦う光秀、というのはある意味新鮮だった。光秀に従う家臣たちの心境と相まって、何やら寂しい気持ちに……。最後の最後、坂本城落城のシーンは、短いながらも涙なしには読めませんな。