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- 作者: フランクブレイディー,Frank Brady,佐藤耕士
- 出版社/メーカー: 文藝春秋
- 発売日: 2013/02/15
- メディア: 単行本
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1960年代、当時チェス界で無敵だったソ連勢を破り、世界チャンピオンとなり、英雄となった若き天才、フィッシャー。しかし、彼はその後20年以上に姿をくらます。奇行と波乱に満ちた彼の生涯を描く。
<感想>
フィッシャーについては、名前も定かではないけれど、そういう変わったチェスチャンピオンがいたという程度の知識しかなく、そもそもチェスもコマの動かし方くらいしか知らないのだけれど、新聞書評が面白そうだったので、手にとってみた次第。
日本にも縁の深い人で、反米的な言動と脱税で指名手配されていた彼が、不正パスポート使用の疑いで逮捕されたのが、日本の成田空港だった。それが2004年のことだから、まだわりと最近。日本でも暮らしていて、何よりも日本人女性と結婚している。
そんなことは、ぼんやりとしか知らなかったので、こうして評伝を読んで知ることが多い。決して人格者とは言えず、天才的なチェスの才能を示す一方で、反ユダヤ主義、反米主義への傾倒を深めていく。ときには陽気で、しかしときには無愛想で、まあ、個人的にはお付き合いはしたくないタイプだろう。
それでも、読み物としてはとても面白い。フィッシャーのことを子供の頃から良く知るという筆者が、なるべく客観的に、でも愛情を持って描かれているように思う。
若くして名を上げたフィッシャーが、それでも決して満足せずにチェスで勝つことを追い求めるうちに深まっていく狂気とも呼べる感情はなんなのだろうねえ。天才になりたいと思う一方で、思考の深淵に陥ってしまうのであれば凡才で良かった思うべきなのかも知れない……。
しかし、当たり前だけど外国人ばかり出てきて、しかも一般的な小説と違って登場人物が多いから、誰が誰かよく分からなくなることが多いのであった……。