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- 作者: 島田荘司
- 出版社/メーカー: 文藝春秋
- 発売日: 2012/09/25
- メディア: 単行本
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1939年秋、アメリカのワシントンDCで無残な女性の死体が発見される。犯人の手がかりのないまま、第二の事件が。そして、警察はある一つの奇妙な論文にたどり着く。
<感想>
これは、うーん、なんと言って評価したら良いものやら。粗筋紹介はほんの入口に過ぎず、話は大きく四章に分かれます。事件の捜査、恐竜に関する論文、そして犯人側に描写が移り、刑務所での生活、最後は奇妙な夢の様な体験。この、第一章と第二章、そして第三、第四章が殆どバラバラなんですよね。
作品としては、もう破綻に近いレベルで隔絶している。緻密に構成された一冊のミステリ、として期待するとがっかりしてしまう。
ただ、各章は面白い。個人的には、第二章の恐竜と重力に関する考察とか。ソウヤーの『さよならダイノサウルス』を思い出したり。後半の犯人の体験談は、島田作品ではお馴染みの幻想譚からの謎解き。
不思議な話だと思っていたら現実的な話でした、というのはいつものことなので、問題はどう着地するか。ちょっと強引というか無理があるとは思うけれど、この真相はなかなか物悲しい。物語としては、ありそうな気もしてくる。
なんだろう、こう、お薦め作品かと訊かれると決してお薦めできないし、出来もそれほど良くないとは思うんだけれど、なんか好きみたいな感じ。ただ、恐竜の論文が無かったら評価はより低かったかも。