武士道シックスティーン (文春文庫)

武士道シックスティーン (文春文庫)

<粗筋>
 剣道に全てを賭けている磯山は、地方の小さな大会で無名の選手に破れてしまう。彼女と再戦すべく進んだ高校で出会った、その少女・西荻は磯山とは相容れないお気楽な性格だった。
<感想>
 勧められて読んだのだけれど、いやいや面白かった。なんと言ってもツンケンした磯山香織と、お気楽な西荻早苗のコンビが楽しい。楽しいと言っても、最初は反目、というか香織が一方的に敵視しているのだけれど。剣道をやる意味に悩みながら、徐々に心を開いていく香織がいじらしくも、可愛らしい。
 文章も上手いなあ、と思いながら読んでいた。短い比喩で的確に登場人物の描写がされている感じ。剣道自身は殆ど詳しくないので、試合描写の具体性までは分からないのだけれど、その辺りはあまり気にせず、香織と早苗、ふたりの友情を楽しんだのであった。
 最後、ああいう終わり方をして、果たして次にどう続くのか。また近いうちに続編も読んでみよう。
 
 あと、今回初めて電子書籍で読んでみた。
 最初は慣れなくて、なんか本を読んでいる感じがしなかったけれど、すぐに違和感は少なくなったかな。
 ただ、完全になくなる訳ではなくて、質感的に、これだけ読んだ、残りがこのくらいというのが分からないので、なんか物足りない。
 あと、前に戻ってシーンを確認する、というにはとても不便。
 紙の本よりも安いならば買ってもいいかな、という感想ですね。