昆虫探偵 (光文社文庫)

昆虫探偵 (光文社文庫)

<粗筋>
 葉山小吉は、ある朝目覚めるとゴキブリになっていた。彼はクマバチの探偵・シロコパKの助手となる。昆虫界に起こる不思議な事件を推理する探偵の活躍や如何に。
<感想>
 短編七編なのだけれど、「ジョロウグモの拘」「生けるアカハネの死」「吸血の池」等々、有名ミステリをもじったタイトルがまず楽しい。そして、昆虫界において昆虫たちのルールで起こる事件を解決するという、前代未聞の内容。
 なぜアカハネの擬態が通じなくなってしまったか、フンコロガシの幼虫はどこに消えたのか、十七年蝉が鳴かなくなった理由とは、等々、事件はいずれも魅力的な謎に満ちている。ただ、謎に比べると解決はいささか拍子抜けのことも多い。
 それでも、これだけ奇抜な推理小説を書いたというだけでも凄い。