定本 百鬼夜行 陽

定本 百鬼夜行 陽

<粗筋>
 平田謙三は居るはずのない妹の記憶に悩まされる。「青行燈」ほか、妖怪シリーズの登場人物たちの側面を描く全10編。
<感想>
 スピンオフみたいなものとは言え、久しぶりの妖怪シリーズですよ。次回作の『鵺の碑』に繋がると思われる「青行燈」「墓の火」「蛇帯」も収められていて、否が応にも期待が高まるのです。
 お話自体は悪く言えば、どれも中途半端というか。特に先に挙げた三編の意味が分かるのは、『鵺の碑』が出た後のことでしょう。いったい、何年後だ……。全体的に家族を巡る話が多い。久々の文体を味わいました。
 ただ、このシリーズも最近の2作(と言っても果たして何年前だ)『陰摩羅鬼の瑕』『邪魅の雫』が、どうも期待外れ気味だったので、あまり過度な期待はしないことにはしておく。