<粗筋>
 古書交換会で一冊の本が盗まれる。『たんぽぽ娘』等3編。
<感想>
 今回は前回にほのめかされた、栞子さんの母親にもう少し迫る話が多い。一方で、夫婦や親子といった家族の絆を巡るお話。相変わらず、古書と謎の融合。……なんだけど、こう言ってはあれなんだけど、前2作に比べるといまいちな読後感。こんなものだったかしら、という。
 全体的に暗い話が多い。比例して、栞子さんがウジウジしていることが多く、あまり魅力が感じられない。いや、お酒で酔っ払うのは可愛いんですけどね。そして、ミステリとしても謎が浅い。伏線が分かりやすくて、謎が最後まで読ませる牽引力としての機能が果たせていない。
 ちょっと辛辣なことを書いてしまったけれど、次巻ではおそらく更に栞子さんの母親に迫ることになるだろう。妹の行動も気になるし、盛り返して欲しいところ。