首無の如き祟るもの (講談社文庫)

首無の如き祟るもの (講談社文庫)

<粗筋>
 戦前、淡首様の呪いが言い伝えられる媛首村で、一守家の娘・妃女子が死体で発見される。その10年後、妃女子の兄・長寿郎の結婚相手を決める儀式の最中、その候補者が首無し死体で見つかる。
<感想>
 今となっては珍しい、因習残る古き村や島などを舞台にした刀城言耶シリーズの三作目。おどろおどろしい雰囲気を味わいながら、かつ論理的で劇的な推理をも味わえる。今作もそれに違わず。この真相は、途中確かに微かな違和感はあったものの、見事に騙された。
 一昔前の新本格作家が、いまや殆ど推理小説を書いていないような状況の中、いわゆる「推理小説」を一番書いているのは、このシリーズではなかろうか。
 ただ、推理パズルとしては面白いが、小説として面白いかと訊かれると、ちょっと疑問。
 最後に披露される推理が、完全にただの説明になってしまっている。この辺り、もっとうまく処理してもらえれば。