ジェノサイド

ジェノサイド

<粗筋>
 元軍人のイエーガーは難病の息子を救うため、アフリカ奥地での作戦行動に参加する。ある一部族の殲滅作戦の裏には、誕生した新人類を抹殺するという目的があった。
 一方、大学院生の古賀は父親の遺言に従い、新薬の開発を始めるが、それは大きな陰謀に巻き込まれる第一歩だった。
<感想>
 「ヌース」と命名された現人類を遥かに上回る知性を持った新人類が突然変異により誕生。その存在を恐れたアメリカ政府によって、抹殺作戦が始動する、というのが大筋。
 様々な思惑が入り乱れ、サスペンスものとして大変面白い。一難去ってまた一難。最後まで目が離せない逃走劇が繰り広げられる。
 また、知識としては聞いたことはあっても、アフリカの諸国で行われている日常的な戦闘、虐殺、強姦、少年兵の存在、等々、改めて文字にすると心が痛む。人はどこまでの他人ならば、助けようと思うのだろう。人とは善なのか、悪なのか。そんなお話。
 ストーリーで示される結論は、かなり厳しい。それでも、最後には希望が残る。
 アメリカのバーンズ大統領が、明らかにブッシュ前大統領がモデルで、なんというか、すごい悪役。……悪役とは少し違うかも。人類を代表した存在。
 
「善なる側面が人間にあるのも否定しないよ。しかし、善行というものは、ヒトとしての本性に背く行為だからこそ美徳とされるのだ。それが生物学的に当たり前の行動なら賞賛されることもない」