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- 作者: 古泉迦十
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2000/09/06
- メディア: 新書
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12世紀の中東。聖者たちの伝記録編纂を志す作家・ファリードは、取材のため、アリーと名乗る男を訪ねる。
男が語ったのは、姿を顕わさぬ導師と4人の修行者たちだけが住まう山の、閉ざされた穹廬の中で起きた殺人だった。
<感想>
再読なのだけど、読んだのは10年前のことなので、イスラム教版『鉄鼠の檻』だったという認識以上のことは忘れてしまっていて、ほぼ初読に近い。
10年以上前のメフィスト賞受賞作。当時は、凄い新人が現れたと話題になって、年間ランキングも賑わせた。その筆力がずば抜けていて、とても新人とは思えない。内容は、ちょっと説明的すぎる感はあるものの、扱っている題材も興味深く、面白い。
しかし、一番のミステリーは、これほどの作品を書いた人物が、それ以降まったく作品も発表せず、沈黙を続けたままだという事実。時折、あの古泉迦十が復活する、という噂がまことしやかに流れるが、事実であった試しはない。