折れた竜骨 (ミステリ・フロンティア)

折れた竜骨 (ミステリ・フロンティア)

<粗筋>
 12世紀末のイングランド・ソロン諸島。領主のローラントは警告を受けていたのにも関わらず、暗殺騎士の「走狗」の刃に倒れる。
 娘のアミーナは放浪の騎士・ファルクとその従士・ニコラとともに8人の容疑者の中から「走狗」を見つけ出そうとするが。
 魔法と呪いの跋扈する世界で、論理と推理の力は果たして真相に辿り着くのか。
<感想>
 ファンタジーとミステリの融合というと、たとえば上遠野浩平の調停士シリーズなどが思い浮かぶ。作者が後書きで挙げているのは西澤保彦山口雅也など。まさに、その系統の作品。
 ミステリとしては、誰が意外な犯人だろうというひねくれた見方をすると、だいたい当たってしまうのだけど、その結論に至るまでの推理は見事。細かな伏線を丁寧に拾っている。
 さらに読み物としても、アミーナとニコラの成長物語となっていて、最後まで惹きつけられる。なんか続きもありそうな終わり方なので、もし可能ならばと期待しつつ。お薦め。