2012年の振り返りとか。

 
昨年読んだ中で、心に残っているものを取り上げてみる。
 

奇面館の殺人 (講談社ノベルス)

奇面館の殺人 (講談社ノベルス)

館シリーズ」というのは、やはり新本格好きとしては特別な存在なのですよ。
そんなシリーズの久々の新作ということで、去年の年始早々に読んだ本。
登場人物がみんな仮面をつけているという奇抜な設定から、当然入れ替わりが想像されるわけですが、そこから更に真相は二転三転とする、という展開。
若干、不満も残る作品ではありましたが、新本格の旗手、綾辻行人にはまだまだミステリ作家として頑張って欲しいところです。
http://d.hatena.ne.jp/kashida_leo/20120116
 
華竜の宮 (ハヤカワSFシリーズ Jコレクション)

華竜の宮 (ハヤカワSFシリーズ Jコレクション)

2011年のSF大賞受賞作。
震災前に書かれた作品でありながら、まるで震災のことを予見していたかのような大災害後の人間たちを描いた作品。
優れたSFとは、突飛な発想だからこそ人間を描いているものだと思うのですが、この作品はまさにそんな理想を具現化していると思います。
必読。
http://d.hatena.ne.jp/kashida_leo/20120406
 
六花の勇者 2 (スーパーダッシュ文庫)

六花の勇者 2 (スーパーダッシュ文庫)

六花の勇者 3 (スーパーダッシュ文庫)

六花の勇者 3 (スーパーダッシュ文庫)

六人しかいないはずの勇者に七人目が! 誰かが敵であり、裏切り者かも知れないという興味を引く設定から始まるシリーズの2作目と3作目。
1作目のラストから、こういう風に繋がっていくのかとますます先が楽しみに。
ストーリーテリングに定評のある『戦う司書』シリーズの作者の新シリーズはどのようになっていくのでしょう。
アニメ化希望。
http://d.hatena.ne.jp/kashida_leo/20120501
http://d.hatena.ne.jp/kashida_leo/20121208
 
夜の国のクーパー

夜の国のクーパー

個人的には、最近いまいちな作品が続くなあと思っていた作者の久々のヒット作。
この世界の何処かにありそうで、何処にもない国で起こる寓話めいたストーリーに思うところ多し。
http://d.hatena.ne.jp/kashida_leo/20121009
 
百年法 上

百年法 上

この作品もまた、現在の日本が置かれた難題をテーマにしたSF作品。
人間がみな不死を得たら、果たして社会はどうなるのか。その絶望的な答えには考えこまざるを得ず。
それでも、人間は利口であるはずだという希望があると信じたい。
http://d.hatena.ne.jp/kashida_leo/20121118
 
武士道シックスティーン (文春文庫)

武士道シックスティーン (文春文庫)

剣道に打ち込むふたりの対照的な少女の青春小説。
爽やかで懸命なキャラたちを、応援したくなる。特に磯山が良い。
エイティーンまで出ているようなので、続きを読みたいところ。
http://d.hatena.ne.jp/kashida_leo/20121215
 
機龍警察 自爆条項  (ハヤカワ・ミステリワールド)

機龍警察 自爆条項  (ハヤカワ・ミステリワールド)

2012年の最後に読んだ本は、とても当たりだった。
2011年の話題作に偽りなし。正直、1作目は微妙な出来だったのだけれど、2作目で一気に化けた。
キャラの内面が掘り下げられて、各キャラの対比、そしてエピソードが絡み合う伏線が素晴らしい。
また同時に<敵>の存在が明らかになってきて、話にも引きこまれていく。
第三作目も、早めに読みたいところ。
http://d.hatena.ne.jp/kashida_leo/20121228
 
こうして振り返ると、昔ほどミステリーを読まなくなって、代わりにSF系の作品を好むようになっているようだ。
奇抜な設定、突飛なアイディアだからこそ、人間や社会を描けるのかも知れないなあ。
いわゆる新本格ミステリが少なくなってしまった、というのもあるだろうけれど。