オブザデッド・マニアックス (ガガガ文庫)

オブザデッド・マニアックス (ガガガ文庫)

<粗筋>
 嫌々参加したクラスの夏合宿。ところが、その島でゾンビハザードが発生。安東丈二は日頃から思っていた。学校をゾンビが襲って、ヒーローになりたい、と。それが現実のものになる。自慢のゾンビ知識で、彼らに立ち向かうのか?
<感想>
 粗筋がうまいこと書けないけど……。いわゆるゾンビものだけれど、いかにゾンビと戦うかではなくて、立てこもったショッピングモールで、普段の学校カーストが完全に逆転し、ある種の狂気に支配された集団のお話。一番良いキャラしてるのは、やはりクラス委員長の莉桜。
 クラスの眼鏡優等生の莉桜は、実は普段から「まるでゾンビみたいに生きている」クラスメイトを嫌悪していて、学校カースト第三階層の丈二たちを扇動し、新たな支配社会を築きあげる。それは外でゾンビがうごめく世界での、彼女たちの楽園。
 まあ、そんな風で莉桜はかなりイカれたキャラなんだけど、それだけ魅力もある。この作者は『ほうかごのロケッティア』でも学校カーストをテーマにしていたなあ。個人的には高校生活ではそういうのは感じなかったけど、まあ大学以降はリア充爆発しろ的な感じの人生を送っているので、分からなくもない。
 終盤の展開はテンポと爽快感はあるけれど、このテーマの作品としては平凡な落とし所に見えてしまう。予定調和。まあ、日常逃避もののラストをどうするかは難しいところではある。物語として、一般に求められるのはハッピーエンドだろうけれど、作者は本当はそれを書きたくなかったんじゃないかしら。