灼熱の小早川さん (ガガガ文庫)

灼熱の小早川さん (ガガガ文庫)

<粗筋>
 今野高校1-Bの飯島直幸は万事如才なくこなす優等生。だが、クラス代表となった小早川さんは、常にテンション高めでガチガチの規律をを押し付ける。副代表として彼女を観察することになった直幸は、彼女の手に炎の剣を幻視する。
<感想>
 もっとえぐり込んでくるような話かと思ったら、比較的淡々としていた。ただ、それだけにリアリティがあるというか、身近に感じられると言うか。一人一人は「いい人」なのに、集団になると何処か歪になる。「空気」を読まない人間は、叩き、排除しても良いという雰囲気が作り出される。
 ネットでも現実世界でも、常に身の回りで起きていることだよね。排他的になりたくなければ、集団から距離を置くしかない。でも、それで本当に戦っていると言えるのか? 作品は最後はハッピーエンドだけれど、実際にはどんな結末を迎えることやら。
 文章は相変わらずのロミオ節。短いセンテンスで、センスの良さを感じさせる。好き。
 『AURA』ほどのアクがないので、ちょっと物足りなさも感じるけれど、高校生に限らずに読んでみても良いのじゃないかしら。そう言えば、『AURA』のアニメ化の話は結局、誤報だったのかしら。