義浄西征伝 海遊記

義浄西征伝 海遊記

<粗筋>
 時は七世紀の中国。両親に捨てられる形で仏門に入った義浄は、より深く仏の教えを知るために玄奘に倣い、天竺に向かうことを決意する。海路、西へと旅立つ義浄だが、同志の離反、海賊の襲来等々、その行く末には困難が立ちはだかる。
<感想>
 容貌魁偉、頑固なまでに仏の道を進まんとする義浄と、お調子者の弟子・善行のやり取りが楽しい。前半は商売と仏道についてなど、興味深い話も。終盤はファンタジーを絡めた話になるのだけれど、登場人物がちょっと多い気も。
 ともかく、普段あまり目にしない題材なのが珍しいし、前述したとおり、義浄と善行のどこかずれた、でも噛み合っているような会話も楽しい。