奥ノ細道・オブ・ザ・デッド (スマッシュ文庫)

奥ノ細道・オブ・ザ・デッド (スマッシュ文庫)

<粗筋>
 時は元禄、江戸の町には「屍僕」と呼ばれるゾンビが溢れていた。側用人柳沢吉保の命により、松尾芭蕉と弟子の曽良は、その原因を探るべく奥州へと赴く。
<感想>
 なんかぶっ飛んだ設定で発売当初話題になった作品。うーん、どうなんだろう。駄作と云い切ってしまうのは簡単なんだけど、随所に光る点もあるような。
 駄目な点は、まずなにしろ話の展開が速い。めまぐるしく場面が変わり、登場人物も次々に出てくる。そして、数ページ後には死んでいる。結局どうなったのか分からないままに場面が移るという展開が最後まで続き、挙句には落ちていない。これは続編前提で作ってあるせいもあるだろうけど。
 多分に、わざとそうしているのだろうと思う部分もあるけれど、とにかく訳がわからない。オープニングが漫画形式だったり、用語解説が途中で入ったりと意表をつく構成は嫌いじゃない。
 光る点は、独特の文章。比喩表現や、短い一文に込められた寓意なんかは結構深いものがある。何より、有名な芭蕉の俳句をゾンビに絡めるというセンスは凄い。と、まあ見るべき点もあるけれど、やっぱり失敗作だよなあ……。