MM9―invasion―

MM9―invasion―

<粗筋>
 自然災害のひとつとして「怪獣」が存在する現代。怪獣対策のスペシャリスト「気特対」と自衛隊が7年前に出現した「ヒメ」を移送中、突如青い火球がヘリに衝突。ヒメが行方不明になってしまう。
<感想>
 前作から7年後を舞台に、ふたたび「気特対」の面々が登場。ただ、前作がウルトラ警備隊が主役だったのに対して、今回はウルトラマンが主役。1話完結の連作短編だった形式から長編形式になったため、話にスピーディーさが足りない気がする。前作のような感じを期待すると、ちょっと肩透かしかも。
 とは言え、特撮とSFを追求しようとする面白さは健在。今回は「ヒメ」が主役のため、美少女イラストをつければ、ラノベとしても売れそう。一騎との噛み合わない会話は、それだけでも面白い。もともと、萌え系にも造詣の深い作者のこと、キャラ小説として読んでも楽しい。
 前作は読んでいるにこしたことはないけれど、随時解説が入るので、この話からでも充分に読める。ラノベからSFへの入門としても良いのではないかなあ。
 そして、連載されていたこの作品が完結したのはまさに大震災の直前だったようだけれど、大正には関東怪獣大災害、平成に入ってからは神戸怪獣大災害があったという世界観で、2012年とはいえ3月に再び関東怪獣大災害が起こるという本作は、何かしら感じ入るものがあったり。自衛隊も活躍するし。