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虚構推理 鋼人七瀬 (講談社ノベルス)

＜粗筋＞
　自身もまた怪異的存在である岩永琴子と桜川九郎は、街に現れる怪人・鋼人七瀬と対決する。ネットの噂から産まれた不死身の七瀬を倒す方法は、虚構をそれ以上の虚構で打ち消すこと。果たして、琴子の知略は通じるのか。
＜感想＞
　亡霊、怪人であるという真実を、実は人の手に拠るものであるという虚構で覆さなければならない、という逆転した推理小説。この変わった設定は、城平氏らしい漫画チックな発想だと思う。最後のたたみ掛けるような展開と、積み上げられていく論理が面白い。
　ただ、文章ではいまいち映えない感はある。デビューこそ小説だけれど、その後は漫画原作者として有名になった作者故かなあ。九郎の設定も活かしきれていない気がするけれど、続編もあるような終わり方なので、その辺りは次に期待。
　城平京原作の漫画というと『スパイラル』が有名だけれど、『ヴァンパイア十字界』や、現在連載中の『絶園のテンペスト』も面白いので、読んでもらいたいところ。