名被害者・一条(仮名)の事件簿 (講談社ノベルス)

名被害者・一条(仮名)の事件簿 (講談社ノベルス)

<粗筋>
 名探偵の陰に名被害者あり。女子校生・一条(仮名)は、ムダに殺人者と遭遇する特異体質。常に変わった犯人と変わった事件に巻き込まれる彼女の5つの事件。
<感想>
 設定がとても面白そうだったので読んでみましたが、ちょっといまいち。いや、特にそれまでの4つの事件の伏線や謎を結びつける5つめは、まあ何というか。山本弘はおふざけと真面目な作品があるけれど、これはちょっと前者に振れすぎていた感じ。
 SFやアニメ、漫画などのオタネタも多い。もちろん嫌いじゃないけど。しつこく感じるのも確か。そんな中では『ダチイエローさん(仮名)と大きな冷凍庫』のオチは好き。ヒロインの一条(仮名)のキャラクターは良いので、なんかもったいない作品だった。
 「名被害者はすぐ殺される故にその存在を知られない」と粗筋のところには書いてあるのに、実際に本を読むと「名被害者は殺されかけても、常に不思議な作用で助かる体質」となっていて矛盾。