お嬢様のメイドくん (一迅社文庫)

お嬢様のメイドくん (一迅社文庫)

<粗筋>
 瑞鶴咲夜の従者・媛代雪風(男)は、咲夜に伴って、女装をして女子中へ転校する羽目に。しかし、肝心の咲夜が都合で遅れ、先に学校に入ると、そこには奇人変人ばかりが待っていた。そして、雪風は生徒会長選挙に出ることになってしまう。
<感想>
 導入はコメディっぽいけれど、中身はけっこうシリアス。咲夜と雪風の関係性とか。他の奇人たちも、奇人変人であることに内心は悩んでいる。嫌いではないけれど、コメディだと思って読み始めた人は戸惑うかも。この作者の他の作品を先に読んでいれば、そうならないことは分かるのですが。
 そのシリアスな展開自体は好き。最後の雪風の演説などは、ぐっと来るものがある。若者よ、大いに悩め、と思うのだ。
 ただ、これまでに読んだ、作者の他の作品『ぼくらの』のノベライズや、『勇者と探偵のゲーム』『ほうかごのロケッティア』に比べると、印象が薄いのも事実。
 常にマッパな高等部の生徒会長、男装の麗人、腹黒ロリ、ドリル夫人、等々変人ばかりが出てくる。変人は変人であることに悩み、凡人は凡人であることに悩む。ラノベには奇人変人がよく出てくるけれど、そんなキャラたちのアンチテーゼ、なのかも知れない。